先日XPPenから発売された新しい液タブArtist 16Pro Gen2を買いました。
何とビックリ、筆圧検知が業界初の16,384段階に対応した液タブ。
ただ筆圧って8,192段階でで充分じゃない?って気もする。
とはいえ実際使ってみるともしかしたら超絶使いやすいのかもしれない。8,192なんてもう2度と使えない体になるかもしれない。
というわけで、もう気になって気になってしょうがなくなってしまったので、必死で銭稼いで(派遣)買ってきたのでレビューしていく。
Artist Pro16 Gen2のスペック
最初に今回紹介するArtist Pro16 Gen2のスペックを紹介すると、こんな感じ。
サイズ | 405.11 x 291.37 x 20.23 mm |
作業エリアサイズ | 344.68 x 215.42 mm |
解像度 | 2560×1600(WQXGA) |
ショートカットキー | なし |
フルラミネーション | あり |
色域カバー率 | 99% sRGB、97% Adobe RGB、99% DCI-P3 |
色差 | △E <2.2 |
ペン | X3 Pro 16,384レベルの筆圧検知 60°の傾き検知 充電不要 |
ON荷重 | 3g |
読取高さ | 10㎜ |
応答速度 | 20ms |
レポートレート | 200RPS |
視差 | ±0.4mm(中央)、±0.8mm(エッジ部) |
接続 | フル機能USB-C or 3-in-1ケーブル(別売り) |
付属品 | ACK05 |
価格(2023年10月時点) | 76,980円 |
どうしても業界初の16,384段階の筆圧検知レベルに目が行ってしまいがちだけど、実際は他のスペックもかなり高い。
特に視差がかなり少ないのもポイントが高い。前作が中央精度が±0.5mm (中央)、エッジ精度が±1mm だったのに対して、今作では約20%も精度を上げて中央±0.4㎜、コーナー±0.8㎜となっている。コーナーでも1㎜切るのは相当少ない。
また、画質についてもFHDではなく、WQXGサイズになっている。あと色域もかなり高い。
もはやスペックだけ見ると非の打ち所がない。
ただ価格は7万円越えと、それなりにします。
XPPenは安価な液タブが多いのでどうしても結構高く感じてしまうけど、冷静に考えたらこのスペックでこの値段はかなり安い。
Artist Pro16 Gen2の内容物
Artist Pro16 Gen2の外箱はこんな感じ
中を開けると最初にディスプレイ本体
ディスプレイの下には付属品が詰まっております。
ペンケースの中身
ペンケースの中身はこんな感じ。
XPPenと言えば昔は円筒状のデザインのペンケースだったんだけど、最近はこのやたら高級感と重量のあるペンケースに変わった。
ぶっちゃけ所有欲的な物は刺激されるけど、ペン置きとしては邪魔だし、持ち運ぶにしても重いので、利便性は圧倒的に下がっている。
フェルト芯も付属
また、今回のペンからフェルト芯がデフォルトで付属されております(4本)。
どちらも試せるのは、非常にありがたい。
また、左上のUSBレシーバーはペン用ではなく、左手デバイス用のレシーバーです。
何故かペンケースの中に収納されております。
左手デバイスが付属でついてくる
今回の液タブはなんと付属で左手デバイスのACK05が付いてきます。
単品で買うと約6000円の品です。
正直「いらない!」って人もいると思うので、選べるようにしてほしかった。
とにかくいろんなもの全部詰め込んで、単価を上げている印象。
Artist Pro16 Gen2使用感レビュー
というわけで実際にしばらく使ってみたので、使用感についてレビューしていきます。
ディスプレイ画面は超スベスベサラサラ
まずディスプレイ本体についてですが、超スベスベでサラサラ。
今までの液晶ディスプレイとは触った感じが明らかに違った。
以前使ってたArtist 22セカンドはもう少しツルツルした質感でした。
Artist Pro16 Gen2はマットな質感を極めてような触り心地で、かなりペタペタ触っても指紋はほとんどつかない。
滑りもとてもよく、手が画面に引っ付くような感覚もない。描いていて気持ちが良い。
紙のような感触は言い過ぎではあるけど、フェルトペンを使うと近くなる
このスベスベサラサラ液晶の正体はなんなんだ!?って話だけど、どうやら【X-Paper Suface】というXPPen独自のフィルムが貼られている為らしい。
もう自分で完璧な質感って書いちゃってるあたり、相当自身があるらしい。でも確かに良い。
ただ紙に描くような質感かって言われると、それは言い過ぎだと思う。
個人的にはめちゃくちゃ好きな質感ではあるけど、紙と比べるとザラザラ感は少ない。
ただ付属のフェルトペンを使うと、かなり紙に近い良い感じの描き心地になる。
上で書いたように、ディスプレイ自体は、かなりサラサラしているので従来のペン先だとペンの引っ掛かりが少ないんだけど、フェルト芯に変えると適度なひっかかりを感じる事ができる。
別途でペーパーライクフィルムを貼らなくてもかなり良い感じの描き味になる。。
画面解像度が高いのは正義だった
あと、個人的に16インチならFHDでいいんじゃない?って思ってたけど、実際使ってみると解像度が高いのは良い。
単純に綺麗に見えるのはもちろんの事、作業領域がかなり広くなる。
16インチFHD程のサイズでCLIPSTUDIOを開くと以下のような感じになるのだけど
WQXGサイズだとこんな感じになる。
分かりづらいかもしれないけど、右側のツール画面を見てもらうと、表示できる情報量の差が全然違うことがわかると思う。
FHD表示だと表示できるレイヤー数が12なのにたいして、WQXGだと20程表示できている。
つまり解像度が高いと、同じ大きさでも情報量の表示にかなり差が出る。
ブラウジングの際も、一度に見れる情報量が明らかに多くなります。
ただその分文字とかも小さくなってしまうので、この辺は好みの問題もあるけど、表示倍率を上げる事はできるので好みのサイズに調整できます。
16,384段階の筆圧検知のすごさは正直言ってあまりわからない
肝心の16,384段階の筆圧検知レベルについては、正直あまり差が分からない。
気持ち筆圧の出方が滑らかな気はする。
追記
正直あまり差がわからないって書いたんだけど、1年ほどこのペンを使った後で8,192段階のペンを使ってみたらようやく16384段階の差を実感できた。
16,384段階の方が明らかに入り抜きの感度が高く、ブラシの濃度や不透明度の制御もしやすい。
多分ずーっと8,192段階のペンを使っていたら気にならなかったことなんだけど、16,384段階で使い慣れてしまうと気になるようになる。
iPhone7の性能に大満足していた人も、iPhone15を使ってしまうともうiPhone7には戻れなくなる。っていう感覚だと思う。
本当に8,192段階なんて使えない体になるかもしれない。
視差や沈み込みはほぼ感じない
視差や沈み込みに関してはほぼ感じない。
画面中央
画面端
どちらも狙った場所にしっかり描画される。
沈み込みに関しても本当にわずかって感じなので、筆圧が強い人でもストレスに感じる事は少ないと思う。
遅延もなし
遅延に関しても特に感じられないレベル
ただ遅延に関してはPCのスペックに左右される。
解像度も高いので、スペックが低いPCだと人によっては遅延が出る可能性はある。
ペンの持ち心地は前作と比べて超よくなっている
ペンのデザインは一新されて、グリップが付くようになりました。
これに関しては前作と比べて超良くなった。
上の画像のペンが前作のものになるんだけど、見ての通りグリップがない。
それに全体的にプラスチックっぽい質感で、正直安っぽいし持ち辛かった。
その分ほこりが付かないとか、良い部分もあったのかもしれないけど、個人的には超微妙だった。
なんならあまりに持ちづらくて輪ゴムを巻いて使う程でした(ダサい)
実際Artist Pro16のレビュー記事でも、ペンが微妙と書きまくった。
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その思いが届いたのかはわからないけど、再びグリップ付きになった。
単純に見た目もカッコいいし、握り心地も良い。
また、ペンのグリップに関してもサラッサラ。
かなり気持ちのいい握り心地になっている
グリップは交換可能!らしい
また、このペンはグリップの交換が可能らしい。
つい日光に当て続けて溶けてしまった場合や、べたべたになっても交換できる。
実際以前に一度グリップが溶けて超ベタベタになった事もあるのでありがたい。
ただ2023年10月時点で売っているところを結構探して見たんだけど、見つからなかった。(罠)
色味も正確
色域に関しては、【99% sRGB、97% Adobe RGB、99% DCI-P3】となっており、かなり高色域。
しかもよくある面積比ではなく、カバー率で表記されているので、安心安全の高色域。
かなり正しい色で表現が可能となっている。
よく面積比だけ載せているパターンがあるけど、しっかりカバー率も載せているあたり拘りを感じる。
更にドライバーから色空間を指定できる。
実際に自分が持っているスマホと見比べてみても、大きく色味が変わるって事はなかった。
もちろん板タブにもなる
最近の液タブでは定番の機能ですが、板タブとして使う事も出来ます。
変更の仕方も簡単で、ドライバーのエリア設定画面から、モニターのタブを変更すればOK
また、画面を消して使うことも可能で、電源ボタンを3秒間推すと画面の表示が消えます。
もちろん画面を表示させながら液タブにすることもできます。
もちろん板タブにしても描き心地は良い。
画面サイズもある程度大きいので安定感もあるし、資料を表示させたりもできるので板タブとして使う際も便利。
【デメリット】折り畳みスタンドが最高に微妙な角度
この液タブの一番の不満点は何か?と聞かれたら真っ先に答えるのが付属のスタンド。
一応本体に内蔵できるし付属でついているものなので、不満を言うのもおかしい話かもしれないけど、角度が固定なのは残念。
だいたい20℃くらい?
個人的には結構立たせて描いていたので、これだとかなり低く感じる。
左手デバイスは単体では微妙だけど、補助としては良い
あと付属の左手デバイスに関しては、見た目がシンプルなのでどうなんだろ..って思ったけど、結構使い勝手が良い。抱き合わせているだけある。
ただキーの数が少ないのでこれ単体ではイラスト作業用の左手デバイスにならないと思った方が良い。
キーボードや、他の左手デバイスを使う事が前提になる。
フェルト芯は1ヶ月ほどでかなりすり減った
約1ヶ月ほど使ってみたところ、フェルト芯はかなりすり減りました。
描く量や筆圧ですり減り方は変わってくると思うけど、多分早い人だと2週間ぐらいで潰れてくると思います。
出来れば22インチでQHDが欲しい
というわけで、XPPenから発売されたArtist Pro16 Gen2のレビューでした。
描き心地は文句なしで良いし、QHD画質でAdobe RGB97%の高色域液タブが余裕で10万を切る価格ってのはかなり安い。
ただできるならこの解像度とペンの精度を維持したうえで、22インチや24インチのモデルが発売されて欲しい。
正直イラストだけなら16インチでもそこまで狭くは感じないんだけど、Live2Dなど表示項目が多いソフトを使う際はキツイ。
上の画像のように、パラーメーターやデフォーマ等表示するものが多いので、イラスト制作ソフトより画面が圧迫する。
その為モデリングビューの画面がかなり小さくなるし、アートメッシュやデフォーマなどを動かす際に手で隠れてしまうのでやりづらい。
実際しばらく使いましたが、16インチだとちょっと手狭に感じてしまうので、自分はLive2Dを扱う時は板タブ化して27インチのモニターで作業している。
ただそもそもLive2Dの場合は液タブより板タブの方が扱いやすいのかもしれない...
そう思うと16インチは良いのかもしれない(前向き)
それじゃ!